2008年01月13日
『長江哀歌』がキネマ旬報のベスト1
来週、公開される『長江哀歌』がキネマ旬報社の2007年外国映画ベスト10の1位に輝きました。一見地味な作品だけに確かな評価がついてくれると劇場としては嬉しい限り。少なくともこの映画を年間の一位と言いきるくらい好きになった人が、確実に入るということです。観ようかどうか迷っている方は、どうぞ参考にしてください。
ちなみに6位の『やわらかい手』も、3月公開の予定です。こちらもダントツにおもしろい映画ですので、多くの観客のおこしをきたいしています。邦画では2月上映予定の『天然コケッコー』が2位に入っています。また桜坂劇場でもヒットした『ひめゆり』が文化映画の中で1位という快挙。おめでとうございます。ざっと全体を眺めてみると、特に邦画部門の作品に桜坂劇場でかかった作品が多いですね。つまり大宣伝をしないけど、きちんと評価される作品が、いっぱいあるということ。このブログに来る桜坂劇場を知っている人なら、一度は聞き覚えもあると思いますが、多分名前を聞いたことがないという人が、世の中的には多いんでしょうね。いつも話題になることですが、大規模な予算と宣伝費を使える映画と、そうでない映画の格差がハッキリしているなあと、実感するしだい。これからも小規模、中規模な秀作は公開できる、目利きをしていきたいと思います。もちろん、ドカンともうかる話題作も数多く上映できるようにしていきたいですが。
今日も会議で多様性の維持、拡大を言われていたんですけどね。まだまだ足りない感じです。
▼キネマ旬報のベスト10(赤文字は桜坂劇場公開作)
【2007年 日本映画ベスト・テン】
1位 『それでもボクはやってない』
2位 『天然コケッコー』
3位 『しゃべれども しゃべれども』
4位 『サッド ヴァケイション』
5位 『河童のクゥと夏休み』
6位 『サイドカーに犬』
7位 『松ヶ根乱射事件』
8位 『魂萌え!』
9位 『夕凪の街 桜の国』
10位 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
次点 『愛の予感』
【2007年 外国映画ベスト・テン】
1位 『長江哀歌(エレジー)』
2位 『善き人のためのソナタ』
3位 『今宵、フィッツジェラルド劇場で』
4位 『クィーン』
5位 『バベル』
6位 『やわらかい手』
7位 『ドリームガールズ』
8位 『ボルベール<帰郷>』
9位 『ゾディアック』
10位 『パンズ・ラビリンス』
次点 『デス・プルーフinグラインドハウス』
【2007年 文化映画ベスト・テン】
1位 『ひめゆり』
2位 『やーさん ひーさん しからーさん ―集団疎開学童の証言―』
3位 『未来世紀ニシナリ』
4位 『いのち耕す人々』
5位 『終りよければすべてよし』
5位 『出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦』
7位 『有明海に生きて 100人に聞く、海と漁と歴史の証言』
7位 『カフカ 田舎医者』
9位 『花の夢 ―ある中国残留婦人―』
10位 『靖国』
2008年01月11日
『Born Into Brothels』日本公開です!
映画館に来る年賀状といえば、まずは今年のラインナップが並んだ配給会社からのお手紙。今年を占うつもりで、ざっと目を通す。その中に『Born Into Brothels』という作品を見つける。2年前のアカデミー賞で最優秀ドキュメンタリー賞に選ばれた、インドの売春窟で生活する子供たちのドキュメンタリーだ。確か桜坂劇場の掲示板にもリクエストとして名が上がったことがあったはず。僕の方も、映画評論家の町山智浩さんのBlogでその存在を知って以来だから、もう2年近く日本の配給がつくのを首を長くして待っていた作品。新年早々めでたいですね。ちなみに町山さんにはかつて『ホテル・ルワンダ』のことも、日本での配給が決まる前に教えてもらったこともあります。貴重な情報源となっている感じ。
そんなわけで配給元に電話をして、沖縄公開の名乗りを上げ、資料など送っていただくことになりました。ちなみに日本公開は晩秋くらいだそうです。ということは沖縄での公開は来年が明けてからって感じでしょうか。新年早々、来年の話というのもなんですが、今年一年の楽しみがまた一つ増えました。
2008年01月07日
『シュワンクマイエルの不思議な世界』のスタジオ上映
今日は朝からスタジオの工事。ワークショップの拡大に伴い、今まで教室に使っていた桜坂スタジオを2分割しているのだ。とは言っても、桜坂劇場の中にこんなスペースがあることを知っている人は、ワークショップで訪れた人だけですね。実はこういうフリーなスペースがあるんです。
ここで1/13(日)ビデオ上映会をおこないます。作品は『シュワンクマイエルの不思議な世界』。小規模ながら、実験的な作品やマイナーな作品を上映するたの機会を作ってみたいということで開催です。料金は劇場上映ではないので800円とリーズナブル。高校生は500円です。
一回目の上映が終了したところで、ハリウッド帰りの双子の兄弟《比嘉ブラザーズ》に登場していただき、人形アニメーションの魅力と作品解説をしてもらおうと思います。
チェコを代表するアニメ作家というより、シュールレアリストの作家、シュバンクマイエルの奇妙な世界をごらんになるチャンスです。
余談ですが、今回高校生料金を500円に設定したのは、僕ら始め、比嘉ブラザースも、映像の魅力にとりつかれ他のがその年齢のころだったということがあります。あの頃は今以上に沖縄では映画を観る機会もなく、情報も限られていました。もっと若い人に情報を届けたいというのは、やっぱ考えてしまいますね。
も一つ余談ですが、今日は沖縄タイムスと、琉球新報の金曜夕刊の映画欄の記事を書きました。『厨房で逢いましょう』です。こちらは大人が楽しめる恋愛ドラマ。すんごく良いですよ。
2008年01月06日
《シネマ手帖増刊号》配布開始!次の展開は?
12月まで2期続けてやってきた『映画評論とフリーペーパーを作っちゃうぞ』ワークショップの受講生のパープルさん(仮名)が、これまでの活動をまとめたフリーペーパー《シネマ手帖増刊 よりぬきシネマ手帖》を持ってきた。でき上がったものはこれまでの二期分の活動をまとめた総集編で、ボリュームもある。自腹でカラーコピーしたという表紙もキャワイラシイ小猫ちゃんという卑怯な作り。なによりも思い入れたっぷりの前書きを読んで感動してしまいました。次回から、このワークショップは名前を変えて《桜坂劇場PRESS編集室》として動き出します。映画評論だけでなく、ネタの宝庫とも言える桜坂劇場を中心に、インタビューや取材、コラム。もちろん映画評も掲載するようなフリーペーパーを作ってもらうつもりです。《研究ラボ》という新しいカテゴリーは、参加者により自発的な企画運営を奨めるための活動形態だと考えていください。よりクリエイティブな展開を、乞うご期待!
しかし、作ったものに各人が愛着を持って、ワークショップ終了後に作品を持ってきてくれるのは、すごく嬉しい。これは映画制作のワークショップのOBチームでもそうで、みんなの課外活動が、目に見える形で広がっていくと、こっちもやりがいがある。もっとも、僕が講師として怠け者のせいで、受講生達が勝手に育っているということなのかもしれないが…。
言い訳ではないですが、何かを創りたいと思う人は、最後は自分でがんばるしかないんですよ。そのための仲間探しにワークショップ、もとい桜坂市民大学がお役に立つように活動したいと思います。
2008年01月05日
『オールド・ボーイ』とパク・チャヌク特集
レイトショーで『オールド・ボーイ』を観る。パク・チャヌク監督作品を観るのは初めて。評価の高い復讐三部作の一作目で、カンヌでもグランプリを取っただけあって、文句のつけようがない傑作。15年のあいだ理由もわからずに監禁された男、オ・デスの復讐劇。背後に大きな陰謀が渦巻いているのかと思いきやそうではない。莫大な金をかけてオ・デスを監禁した男にもハッキリと復讐心が渦巻いている。復讐という個人的で、行き場のない気持ちがぶつかりあうのだ。だからもう救いようのない悲しみに満ちている。だけど、この作品に罪人はいても悪人はいない。それが物語に大きな救いを与えていた。救いようのない悲しみに救いがあるのも変だが、そのもやもやが又この映画の力であり、人生と言うものなのかもしれない。
この作品をハッピーエンドと観るか、あるいはその逆と観るか?どっちとも言えないのか?観る人によって意見は様々だろう。観客の人生や、今の状況で反応は別れるはず。観客の数だけ映画はある。その観客の気持ちに応えながら、作品としての存在感を失わないパワーを感じる。たぶん、この映画を観て自分の反応を確かめるだけでも、観る価値があるように思う。ここから復讐3部作を経て、ラブコメ『サイボーグでも大丈夫』に到ったパク・チャヌク監督の変遷をたどるのが楽しみになった。
今回の特集では来週のレイトで『親切なクムジャさん』も上映しますよ。
2008年01月04日
『人のセックスを笑うな』ブッキング、ほか
エスクァイア日本版の最新刊に掲載されていた『メカス映画日記1959-1971』の再録を読んで感動。これは『リトアニアへの旅の追憶』で知られるジョナス・メカスの映画コラムの抜粋。特にジャン・ルノワールとジャン・ヴィゴへの絶対的な賛美に共感。元気をもらう。この号には桜坂劇場で上映が決定した作品の紹介や、検討中の作品もたくさん紹介されています。買うときは桜坂劇場のPanaで。
今日は配給会社もいくつかは仕事初めということで、電話を数本。話題の映画『人のセックスを笑うな』をブッキング。あと小粒ながら台湾の『花蓮の夏』と、中国を舞台にした『中国の植物学者の娘たち』も決定。この二本は同性愛が題材になっているが、当然ながら切り口が全く違う。それぞれの紹介はまた時間のあるときにでも。しかしながら、中国映画は最近とんと弱いですね。もうすぐ公開される『長江哀歌』『雲南の少女 ルオマの初恋』にもたくさん見にきて欲しいです。それと2月の白百合クラブLIVEについて関係者と連絡。2月11日(月)の午後はスケジュールを空けていてください。素敵なライブになります。
タグ :桜坂劇場
2008年01月03日
プログラム作りと劇場のニューフェイス
正月早々、昨日からスタッフがペンキ塗りをしてくれている。錆が目立っていた外階段を補修中。けっこうな高所作業なので時間がかかっている。ごくろうさまです。ワークショップがもうすぐ始まるので心機一転、気持ちよく来場いただけるように準備です。こないだまで白かった手すりは、ぜんぶ赤ペンキで塗装。おかげで劇場の側面に赤いラインがアクセントでつきました。これこそ新しい顔ですな。これからは説明するときも、「外側の赤い階段をお上りください」と言えるのでわかりやすいかと思います。今日は映画の感想はおやすみして3月のプログラムを試行錯誤。パズルのように絡みあった作品を効果的に組むために、日程スケジュール表と週単位の時間表、そしてそれぞれの作品データとライブスケジュールを交互に見ながら組みます。気が散ると意味がわからなくなるからたいへんです。配給会社とのやりとりは週明けからがほとんどなので、だいたいは固めてさっさと進めたいと思かんがえる。
タグ :桜坂劇場
2008年01月02日
『ペルセポリス』家族の歴史
今日は寒気がしたので早めに帰る。で、3月上映予定の『ペルセポリス』のサンプルを観る。原作は以前Panaで販売したときに買って読んでいたので、アニメ化が嬉しい作品。しかもこの春発表のアカデミー賞の外国語映画賞のフランス代表に選ばれている。ついでに書くと4月に上映予定の『ヒトラーの贋札』も同賞にノミネートされているので注目ください。それで『ペルセポリス』ですが、日本で公開されるのはフランス語版。主人公とその母の役を、キアラ・マストロヤンニ&カトリーヌ・ドヌーブ母娘が演じている。『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』に出ていたあの二人です。イランの少女と家族の物語
『ペルセポリス』はイラクで生まれ育った少女マルジの幼少期から成人になるまでの物語で、並行してイランの社会情勢が描かれる。ニュースで聞く情報は他人事だが、映画という形で語られると、身近な体験談として観れるので感慨もひとしおだ。また監督は実写で映画化すると、遠い異国の話になると思い、感情移入しやすいアニメで制作したというが。それは正しい選択だったと思う。その辺は公式サイトのインタビューをご参照ください。で、ちなみにこの作品の監督は原作者自身。つまりマルジ自身が監督もしているのが非常に意味深い。そのことで、物語は少女が目撃した一人称から、少女が家族から受け継いだ大きな歴史の一コマという流れの中に位置することになるからだ。アニメ特有の軽快な語り口の中に、大河ドラマのような深みを感じた。小難しいことを言えば、やはり語るべき話と、どうでも言い話というのが世の中にはあり、この『ペルセポリス』は前者。そして語り継ぐべき話としての価値を持っている。
優れたアニメ的表現
内容のことばかり書いたが、映像的にも楽しめる作品になっている。現在をカラーで、思い出をモノクロで描くというシンプルな表現だけではなく、歴史的な出来事は伝統的な壁画のようなタッチでデフォルメされたり、戦闘シーンはシルエットで生々しさを消しながらも暗鬱たる重さを持って描くなど、わかりやすい文法の中で、アニメらしい自由な表現が美しく描かれる。その辺は原作のコミックを4年描けて書いたという監督のグラフィック感覚だろう。
繋がっていく物語
興味深かったのは、マルジが青春時代を過ごしたパリでの話。異国の地でアラブの女がどんなに肩身の狭い思いをしたかが伝わる。ヨーロッパ人の無理解。これは先日上映した『アズールとアスマール』が描いたテーマにもつながる。映画を通して現実のピースが繋がったきがした。異文化への不寛容は日本人とてかわらないだろう。映画がこういうギャップを埋めていければおもしろいと思う。
あとどうでも言い予断だが、マルジの好きなスターがブルース・リーだった。ピーター・ジャクソンや、タランティーノなど、いかにブルース・リーが世界の映画人に影響を与えているか思い知りました。
>>公式サイト『ペルセポリス』
3/15〜 桜坂劇場にて上映
2008年01月01日
『線路と娼婦とサッカーボール』で年が明ける
正月休みということで、サンプルビデオに目を通した。『線路と娼婦とサッカーボール』。前にもザラッと観た程度だったのだが、時間ができたので鑑賞。
娼婦たちのサッカーチーム、奮闘記
中米のグアテマラ。リネア(線路)と呼ばれる貧民街が舞台。そこで働く娼婦達がサッカーチームを作って、サッカー協会の試合に出場し、一般的な婦女子のチームと対戦するというドキュメンタリー。彼女たちがチームを作るのは何もサッカーが好きというだけの理由ではない。公式戦に出ることで、自分たちの社会的な権利を主張しようという目的を持っている。たかが売春婦が路上で叫んでも、誰も耳を貸してくれないというわけだ。幸か不幸か彼女達の活躍は多いに話題になる。彼女達と試合をするとAIDSが感染する恐れがあるとして、対戦相手の関係者からクレームが出たのだ。他にも難癖はいろいろ。そもそもAIDS なんてそんな簡単にうつるものではないが、そういうクレームが、最下層の娼婦達ではなく、教養のあるチームの保護者から出てくるところが、彼女達の立場と、社会の構造をあぶりだしている。
人の尊厳は平等に与えられるのか?
映画では当然ながら、チームメンバー一人一人の背景も映し出される。そこには当然ながら家族がいて、普通に子供たちもいる。そんな中で身体をはって日銭を稼ぎ、子供たちの学費まで稼ぐ母たちはたくましく美しい。子供たちはそんな母親を尊敬し、愛しているのが泣かせる。売春は良い仕事ではないし、誰にも勧めないが、それ自体が罪と言いきるのは難しいということが、この映画を観るとよくわかる。これは自らを貶める人々ではなく、最下層からスタートした人々の物語なのである。映画はその辺は問題提起しているが、深く降りていくことはしない。大事なのは彼女達の職業ではなく、人としての尊厳を見せつけることにあるのだ。サッカーというスポーツを通して、誰もがルールの元で対等になれることを証明することが重要なのである。さらに映画は、彼女達の職業を否定している人々が、彼女達のサッカーまでもを否定する矛盾を見せつける。
意外と熱狂できた試合シーン
もちろん映画には何度か試合のシーンも登場する。ハンドボールのコートのような小さなコートで、まるでホームビデオのような映像なのだが、彼女達の日常を見ているだけに、感情移入ができて意外と興奮して見ていた。なんだか運動会に身内を応援しに行ったようなハイな気分になれる。もう映画を観ているうちに、だんだん彼女達の職業がどうでもいい感じになって、ただ単純に応援している自分に、僕を初め多くの観客が気がつくだろう。そしてそれこそがこの映画の目指すべき方向なのだ。必ずしもハッピーエンドとは言えないラストだが、グアテマラの娼婦たちの、人生で一番ハッピーな時間を共有できる。その瞬間をいっしょに味わって欲しい。桜坂劇場での公開は2月末。絶対楽しめるし、元気になれるドキュメンタリーです。
>>『線路と娼婦とサッカーボール』公式サイト
2/23(土)〜 桜坂劇場にて公開
娼婦たちのサッカーチーム、奮闘記
中米のグアテマラ。リネア(線路)と呼ばれる貧民街が舞台。そこで働く娼婦達がサッカーチームを作って、サッカー協会の試合に出場し、一般的な婦女子のチームと対戦するというドキュメンタリー。彼女たちがチームを作るのは何もサッカーが好きというだけの理由ではない。公式戦に出ることで、自分たちの社会的な権利を主張しようという目的を持っている。たかが売春婦が路上で叫んでも、誰も耳を貸してくれないというわけだ。幸か不幸か彼女達の活躍は多いに話題になる。彼女達と試合をするとAIDSが感染する恐れがあるとして、対戦相手の関係者からクレームが出たのだ。他にも難癖はいろいろ。そもそもAIDS なんてそんな簡単にうつるものではないが、そういうクレームが、最下層の娼婦達ではなく、教養のあるチームの保護者から出てくるところが、彼女達の立場と、社会の構造をあぶりだしている。人の尊厳は平等に与えられるのか?
映画では当然ながら、チームメンバー一人一人の背景も映し出される。そこには当然ながら家族がいて、普通に子供たちもいる。そんな中で身体をはって日銭を稼ぎ、子供たちの学費まで稼ぐ母たちはたくましく美しい。子供たちはそんな母親を尊敬し、愛しているのが泣かせる。売春は良い仕事ではないし、誰にも勧めないが、それ自体が罪と言いきるのは難しいということが、この映画を観るとよくわかる。これは自らを貶める人々ではなく、最下層からスタートした人々の物語なのである。映画はその辺は問題提起しているが、深く降りていくことはしない。大事なのは彼女達の職業ではなく、人としての尊厳を見せつけることにあるのだ。サッカーというスポーツを通して、誰もがルールの元で対等になれることを証明することが重要なのである。さらに映画は、彼女達の職業を否定している人々が、彼女達のサッカーまでもを否定する矛盾を見せつける。
意外と熱狂できた試合シーン
もちろん映画には何度か試合のシーンも登場する。ハンドボールのコートのような小さなコートで、まるでホームビデオのような映像なのだが、彼女達の日常を見ているだけに、感情移入ができて意外と興奮して見ていた。なんだか運動会に身内を応援しに行ったようなハイな気分になれる。もう映画を観ているうちに、だんだん彼女達の職業がどうでもいい感じになって、ただ単純に応援している自分に、僕を初め多くの観客が気がつくだろう。そしてそれこそがこの映画の目指すべき方向なのだ。必ずしもハッピーエンドとは言えないラストだが、グアテマラの娼婦たちの、人生で一番ハッピーな時間を共有できる。その瞬間をいっしょに味わって欲しい。桜坂劇場での公開は2月末。絶対楽しめるし、元気になれるドキュメンタリーです。
>>『線路と娼婦とサッカーボール』公式サイト
2/23(土)〜 桜坂劇場にて公開
2008年01月01日
あけましておめでとうございます
しばらく開店休業状態だった、桜坂劇場ディレクター個人のBlogです。Blogは便利なのですが、そのぶん不自由さもあって付き合いかたをつかめずにいたのですが、今年は情報発信をまじめにしていこうということで、ちょっと模索しながら進めていきたいと思います。
主に、観た映画の感想や紹介、後はブログらしくぬるい文章もつらつらと…硬軟取り混ぜて書いていこうと思いますのでよろしくおねがいします。
デザインは、最初なんでシンプルに。じょじょに使いやすくみやすくしていこうかと思っています。
ブログという奴はリアルタイムな分だけ消費が早いので、その辺は公式サイトと連動させて長い目で見ていけるような、消費に甘んじない情報になれたらいいね。
主に、観た映画の感想や紹介、後はブログらしくぬるい文章もつらつらと…硬軟取り混ぜて書いていこうと思いますのでよろしくおねがいします。
デザインは、最初なんでシンプルに。じょじょに使いやすくみやすくしていこうかと思っています。
ブログという奴はリアルタイムな分だけ消費が早いので、その辺は公式サイトと連動させて長い目で見ていけるような、消費に甘んじない情報になれたらいいね。
2007年06月07日
新しい伝説が生まれるかも知れない
前回、こども映画祭の方向性を書いた。基本の方向性は間違いないと思っているのだが、もっと世の中に浸透させる必要があるとおもってシンボルを作ることにした。単なるロゴという意味ではない。フラッグとして立てられる物だ。ヤノベケンジをパクってロボットなんていいかなと思う。そのロボットのことを考えていると、一つの物語が浮かんだので、Cha-gwa(桜坂劇場のカフェね)で、ささっと絵コンテを書いてみた。アニメというよりは絵本用なんだけど、これがけっこういい。書いてて目頭が熱くなるんだな。物語は途中で終わっている。「続きは映画祭で」そんな卑怯な一文で終わるのだ。だから観客は映画祭に参加するだけで、自動的に物語の構成要素となる。映画祭が一つの物語を内包し、観客はそれに組み込まれていくのだ。宣伝の第一段階は、この物語をアピールすることからはじまる。企画書を見た人の反応も好調です。
考えてみたら、昨年までのこども映画祭にはストーリーがなさ過ぎたってことだね。今思うとまじめ過ぎた。今年は映画祭のディレクターとして、遊びまくりたいです。ひさびさに『アークエとガッチンポー』のころのディレクター魂がフツフツとアブク、ぶくぶくって感じである。
考えてみたら、昨年までのこども映画祭にはストーリーがなさ過ぎたってことだね。今思うとまじめ過ぎた。今年は映画祭のディレクターとして、遊びまくりたいです。ひさびさに『アークエとガッチンポー』のころのディレクター魂がフツフツとアブク、ぶくぶくって感じである。
2007年05月27日
愛と欲望の新ワークショップ始動
桜坂劇場ワークショップ第5期が先週月曜日からスタートした。僕が担当するのは二つで、一つは映画制作講座中級篇。こちらは講師を『沖縄のこわい話』で知られる映画監督、新垣映画組合の新垣善広さんにお願いしているので、僕は制作を受け持つ。もう一つは僕が講師を務める『映画評論とフリーペーパーを作っちゃうぞ』講座。僕の担当する講座は基本的なポリシーがある。それは基本何も教えないということ。ワークショップの言葉の定義はよく知らないけど、いわゆるカルチャースクールとは違うと思っている。僕が講師として大切にしているのは、目標を設定すること。目標とは個人的な知識を上げるなどという小さなことではない。何かを世に産み落とすことだ。ワークショップを通して、世の中とつながり、広がっていくこと。ワークショップは、受講生にとって、そのおもしろさを知る道具でしかない。手段はそれぞれちがうけど、すべてのワークショップはそこ目指すべきと思う。
目標と活動の場所を作れれば、やる気のある人たちは勝手に動き出す。大事なことはみんながやりがいのあることを僕らがプロデュースすること。そうすれば勝手に動き出すので、世の中は楽しくなり、僕ら講師は楽できる。いや、楽したいわけじゃないんだけどね。一番大変なのは、受講者にあった適切な夢というか、目標を描き出すことが大事なんだよね。これは映画監督をしてても同じだと思う。
土曜日に始まった『映画評論とフリーペーパー』のワークショップは、まず映画の評論を毎週書いてくるようにと宿題を出して、次週から発行予定のフリーペーパーの企画会議をした。僕はチャチャをいれつつ眺めていた。最初はなかなか進まなかったが、フリーペーパーのタイトルが決まったあたりから、「評論の宿題を自由課題ではなく、テーマを決めて特集を組んだりしたらどうだ」とか、受講生からアイディアが飛び出してきた。人というのは、可能性が見えた瞬間、やりたいことが吹き出すように生まれくるのだ。受講生の欲望がフツフツと湧き出す音を聞くことこそ、ワークショップ講師の醍醐味。僕の思惑を超えて、能動的な受講生たちの活動が広がっていくことを祈ります。次回以降の講師が楽しみでしょうがないです。
PS 映画制作講座の卒業生たちは、現在、沖縄映画塾というサークルで、勝手に映画を作り始めています。世の中が動いているのは楽しいことです。
2007年05月26日
CSS test
この表示の記事はテストですので、内容は気にしないでください。
アコークロー
監督:岸本司
キジムナーの映画デス
アコークロー
監督:岸本司
キジムナーの映画デス
- 上映時間
- 14:10
- 16:30
- 18:50
- 21:10
- ※土曜は23:30の回あり
2007年05月25日
こどもたちと遊ぶ。こども映画祭企画
桜坂劇場のPanaで『ヤノベケンジ:ドキュメント子供都市計画』(ビーケーワン)っちゅう本を購入。2004年に金沢21世紀美術館で、ヤノベケンジがおこなった180日間のアートプロジェクトのドキュメント本だ。金沢21世紀美術館は沖縄から遠くあこがれている美術館だか、そこで行われた非常にワクワクさせられるイベントの様子が収められている。もう、プロジェクト開始前に描かれたというイメージイラストにクラッときた。子供たちが立ち尽くす背後に見える未来都市。その中心に巨大ロボ。まさに夢の風景。まるで大阪万博だ!と思ったら本の中でヤノベ自身が万博について言及している。天才漫画家、浦沢直樹の『21世紀少年』を読むまでもなく、大阪万博は当時の子供たちのトラウマになっているのだ。トラウマというと悪い意味だが、子供の成長に深く刻まれる忘れられない体験。そういうことが大事なんだよね。桜坂劇場は毎年、こども映画祭というのをやっているが、子供向けの映画を上映するだけではやっぱつまんないということに気がついた。映画も大事だが、それ以上に劇場で体験できること。それが一番重要なのである。なにかヒントになるのではと思って買った本だったけど、それ以上に刺激的なイメージがビンビンつたわってきた。たとえば『ロッテ・ライニガー』の影絵映画を観た後に、そのまま影絵ワークショップをするとか。または映画館の暗闇で障害物レースなんて、映画館のタブーを犯すのも楽しいかもしれない。劇場を飛び出して、近所の公園のおじさんたちと段ボールハウスを造るとか…。そんなバカバカしいけど楽しいことが必要なのである。
そういえば、子供時代の僕が、映画館で一番楽しかったことは、自分の帽子を放り投げることだった。行儀の悪い話だが、僕の帽子の影がスクリーンに映る興奮は忘れられない。ゴジラと僕の帽子が銀幕で華麗なる共演をしていることの興奮!あの感動がなければ、僕は映画を作っていなかったかも知れないと、マジで思うくらい。だから映画館は楽しいのだ。そして未来のために劇場は楽しくあるべきだ。
細かいプログラムを考えるのはちょっと置いといて、そんな方向性を固めることにした。さっそくヤノベケンジのイラストを事務所の壁に貼ってみた。なんかおもしろいアイディアが、みんなから聞けることを期待しつつ。
2007年05月19日
デジタルシネマで世の中は幸せになるか?!
《非劇場上映》って言葉はあまり一般的ではないですが、つまりは映画館などルーチンワークで上映をしている映画館ではない劇場での上映をさします。桜坂劇場は劇場ですが、例えば《あしびなー》などの多目的なホールでの映画上映や、公民館などの巡回上映が非劇場上映にあたります。そもそも映画が娯楽の王様だったころは、巡回上映は儲かる仕事でしたが、人口の都市集中や、映画の斜陽化で、巡回上映が不定期となり、しまいには田舎では映画が見れない状況が続いてます。
現在、文部科学省が文化的な視点でコミュニティシネマという概念を推し進め、経済産業省が産業の立場からデジタル設備を使用して非劇場上映を推し進めている。しっかり縦割りなのですが、僕ら民間はどちらとも付き合いつつ、映画を広く上映したいと考えているんで、今回この作業に関わることになりました。
5月17日、コザの沖縄市民小劇場あしびなーで、DCAJ(デジタルコンテンツ協会)主催による、地域映像文化振興のためのデジタルシネマ・シンポジウムがありました。これは新たに始まったDCAJの事業(経産省系)。地方ホールで定期的に映画のデジタル上映をしていく企画の準備です。簡単な設備と、安い経費で良質の映画を毎月上映していくことができる。桜坂劇場はその全体をプロデュースしていくことになる。現在、桜坂劇場とあしびなーが共催でおこなっている上映会の拡大版だ。まだ参加しているホールは少ないが、実績をあげて県内の隅々に映画を広めていけるようになれば楽しいと思う。
けっきょくいろいろ映画上映をやっているが、僕の場合の原動力って誰が好きとか、どの映画が好きって言うピンポイントな興味ではなく、なんか「こんな世の中って楽しいよな」的な漠然とした世界観だったりする。劇場の設備がゴージャスかどうかではなく、あっちでもこっちでも観たい映画や、好きな映画が観れると世の中が楽しくなるんじゃないかと思う。
ちなみに僕は会場に行く途中に車がエンスト。終わり頃に到着したのであまり話は聞けませんでした。生まれて初めてJAFのお世話になりました。困った人の役に立つ仕事って良いよなあ〜と、公園の地味な雑草の花畑でつくづく思いました。JAFのお兄ちゃんありがとう。
現在、文部科学省が文化的な視点でコミュニティシネマという概念を推し進め、経済産業省が産業の立場からデジタル設備を使用して非劇場上映を推し進めている。しっかり縦割りなのですが、僕ら民間はどちらとも付き合いつつ、映画を広く上映したいと考えているんで、今回この作業に関わることになりました。
5月17日、コザの沖縄市民小劇場あしびなーで、DCAJ(デジタルコンテンツ協会)主催による、地域映像文化振興のためのデジタルシネマ・シンポジウムがありました。これは新たに始まったDCAJの事業(経産省系)。地方ホールで定期的に映画のデジタル上映をしていく企画の準備です。簡単な設備と、安い経費で良質の映画を毎月上映していくことができる。桜坂劇場はその全体をプロデュースしていくことになる。現在、桜坂劇場とあしびなーが共催でおこなっている上映会の拡大版だ。まだ参加しているホールは少ないが、実績をあげて県内の隅々に映画を広めていけるようになれば楽しいと思う。
けっきょくいろいろ映画上映をやっているが、僕の場合の原動力って誰が好きとか、どの映画が好きって言うピンポイントな興味ではなく、なんか「こんな世の中って楽しいよな」的な漠然とした世界観だったりする。劇場の設備がゴージャスかどうかではなく、あっちでもこっちでも観たい映画や、好きな映画が観れると世の中が楽しくなるんじゃないかと思う。ちなみに僕は会場に行く途中に車がエンスト。終わり頃に到着したのであまり話は聞けませんでした。生まれて初めてJAFのお世話になりました。困った人の役に立つ仕事って良いよなあ〜と、公園の地味な雑草の花畑でつくづく思いました。JAFのお兄ちゃんありがとう。
2007年05月16日
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2007年05月16日
イカした財布をGet
仕事に煮詰まってくるとPANAに立ち読みに行くのが日課です。スタッフがいろいろ面白い商品を探してくれているので、立ち読みにも精が出るのです。おかげでけっこう自分とこの劇場にけっこう金を落としているような気がします。そこでもっと客を呼ばねばと思って宣伝です。ちょっとイカした品を見つけて衝動買いをしたのでご報告いたしましょう。
ビニール製の長めのポストカードのような形ですが、使うときは二つ折りにします。おしゃれなデザインで、裏返すとお札と小銭がシースルーで見えるところが素敵です。普通、財布というのはレシートなんかが溜まって意味なく太くなったりしますが、この財布だと、見栄えが気になるので小まめにお手入れせねばならないところが情操教育としても良いような気がします。それになんといってもこの財布は軽いのが良い。ポケットに入れておくと、本当に入ってるのかわからないくらい軽い。なくしても、忘れても気がつかないんじゃないかというくらい軽い。ポケットをみっともなく膨らましている方には最適です。
僕が買ったのはSF少年の心を熱くかきたてた小松崎茂画伯のイラスト。ほかにも花くまゆうさくとか、いろいろ取りそろえているので、男女に関係なく使えます。文:プログラム・ディレクター真喜屋力
2007年05月16日
『恋しくて』那覇市内の上映で10,000人突破!
『恋しくて』の沖縄公開から2週間が過ぎ、3週目に入ったばかりの5/12(土)。『恋しくて』の那覇市内での観客動員が10,000人を超えました。那覇市内では桜坂劇場とリウボウホールの二館での同時公開という、単館系映画にはなかなかありえない、いわゆる《二館取り》での公開という、地方公開にはあるまじき特殊な上映形態でしたが、それが功を奏したのかあっという間の大台突破。桜坂劇場だけでもこの日、7,000人の大台に乗りました。当劇場の今までの記録は7,000人を超えるのに『フラガール』の16日、『かもめ食堂』の20日ですから、もんくなく新記録の誕生です。ちなみにゴールデンウィークに行われた石垣上映の観客動員7,000人を足すと、昨日の5/15で沖縄上映の動員は、3週間で20,0000人を超えたことになります。
この記念すべき1万人の大台が出ると予想された12日。劇場の受付には何やらでっかい金の玉ならぬ、金色のくす玉がぶら下がっておりました。受付脇でカウントしていた映画プロデューサーの新井さんの掛け声で、見事10,000人目の来場者の頭上でくす玉が割れ、紙吹雪とともに祝杯。ラッキーな10,000人目を仲良く手に入れたのは読谷村からお越しの二人の女性、松田美紀さんと能勢奈菜さん。大きな花束と景品が手渡されました。『恋しくて』はこれから全国でも上映されていきますが、この勢いで広がっていくことを期待いたします。
文:プログラム・ディレクター真喜屋力



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