2006年06月04日

待ちに待った『マクダル』公開

マクダル『マクダル・パイナップルパン王子』(6/9まで)は、今の香港を知る貴重な作品。かわいらしいキャラクターを見て子供映画と思われがちだが、多くの毒を含んでいる大人のためのアニメ。毒というと、すぐに『サウスパーク』などを引き合いに出す人もいるが、そんな凶悪な毒ではない。心の奥底に静かにトラウマを刻んでいくような、そんな毒である。かえってタチが悪いという気もするが、遅かれ早かれ人というものは傷を背負い、それでも前向きに生きていくしかない。『マクダル〜』は、そんな傷を見せつけながら、希望を迷いなく見据える。歳を重ねた人に、未来に不安を抱く若者にも見てほしいような作品なのだ。

この映画に出てくるモノすべてが優しい。毒さえも優しく、しかし強固に人の足をひっぱる。それでも前を見据えることを、けしてやめようとしない子供たち(香港人)の決意表明が、この作品に強い感動をもたらしてる。子ブタたちは日々のスピードで前に進む。たとえ親と決別しても…。子ブタたちの未来に幸多からんことを。そんな祈りにもにた気分が、静かに胸に染みる。これぞ現代香港アートの傑作であり、中華圏での大ヒットが裏付けるような大衆性もある希有な映画なのである。

で、たまたま『マクダル〜』初日に配給会社マジックアワーの有吉さんが来ていた。現在ロケ中の岸本監督の沖縄を舞台にしたホラー映画、『アコークロー』の製作もやっていて、たまたま沖縄に滞在していたのだ。

二人で『マクダル〜』のポスターを観ながら立ち話。有吉さんも『マクダル〜』はお気に入りらしく、『マクダル・パイナップルパン王子』の前作、『マイ・ライフ・アズ・マクダル』も、日本公開するつもりらしい。驚くことに『パイナップルパン王子』の冒頭には予告編がついているくらいだ。で、二人で宣伝について立ち話。実はこの手の作品は売るのが難しい。漫画からテレビ、そして映画へと徐々に人気が上り詰めた香港と違って、日本ではマクダルの知名度は低い。ポスターのかわいいイラストだけ見せても、《お子様映画》と思われてしまうのがオチなのだ。かといってチラシを読んでも、この映画の魅力を伝えづらい。口コミが広まるのを待つほど劇場も押さえられない。そういう場合は一般的に《見せ込む》という手法、つまり評論家やタレントなどのオピニオンリーダーとなる人々に、試写やサンプルビデオで見てもらい、記事にしたり番組でしゃべってもらう必要がある。しかし大作映画と違って、この手のクラスの作品は、試写会をすればマスコミ全員が見に来てくれるわけでもない。もう地道に観てもらう努力をするしかない。

でも、すばらしい作品なので、皆さん見てくださいね。


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