2008年04月13日

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』感想

個人的には今年最大の邦画の目玉だと思っている『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』のプレミア上映とトークショーのため、若松孝二監督と出演者のARATAさん、大島信満さんを迎えた。さらに上映当日には脚本を担当された掛川正幸さんも来場。掛川さんは、わざわざこの日のために沖縄で仕事を作って、その経費でやってきたらしい。ありがとうございました。

映画はもちろん傑作でした。若い監督がノホホン、まったりとしたテイストの映画を作る今の時代に、御年72歳の若松監督が、観客に何かを突きつけるような骨太な映画を作っている。しかも私財を投じて。このエネルギーはなんなんだ。聞けば、映画の中で使用されるあさま山荘のセットは、監督の別荘だとか。映画のために水浸しになったうえに、破壊されると言う最後を迎えたらしい。それでも監督は笑顔で、「お金はなくなっても映画が撮り続けらればいいんだよ」と、映画作りの歓びを謳歌していました。すてきだと思います。さらに「歳をとったら冠婚葬祭に出すお金だけあれば良い」と、仲間との繋がりを大切にする一面も見せてくれた。そんな思いが若松さんの映画制作の原動力であることは、まちがいないと思う。

だから『実録・連合赤軍〜』はおもしろい。単に過激派の残酷な事件を興味本位に描くのではなく、思想的なシンパとして美化するのでもない視点。だからといって宙ぶらりんな、立ち位置でもない。同じ時代の空気を吸っていた人々の抵抗と挫折を、怒りと優しさ、そして悔やみといった共感と責任をもって描こうとした試みが、素直に観客の心に届く。それは時には痛いのだが、3時間10分の長尺を、一気呵成に見せてくれる。

僕にとって連合赤軍は《過激派》《怖い人》《不気味な若者》として、顔のないイメージだけの存在だった。この時代、おそらく多くの人がそうだと思う。この映画ではそんな彼らの顔が見えてくる。だかあチラシの裏にあった彼らの顔を、幅2.2m、縦0.6mの大判のポスターにして劇場内に貼りました。映画を観が人たちに、メンバーの一人一人の人生をもう一度思い浮かべてもらいたかったからだ。同世代の人なら、そこにまた違う誰かの顔をイメージするかも知れない。若い人なら、彼らの迷いに自分の顔を重ねるかも知れない。いずれにしても、この映画で、やっと僕らはあの事件と向き合うための顔を手に入れた気がした。


あのころと今と、何も変わっていない。ダメなものにダメと言える勇気は必要だし、同じまちがいをしないための反省も必要なんだよ。若松監督はそんな言葉を残して沖縄を後にしました。明日はブエノスアイレス、その後は韓国に行かれるそうです。


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