2008年01月02日

『ペルセポリス』家族の歴史

今日は寒気がしたので早めに帰る。で、3月上映予定の『ペルセポリス』のサンプルを観る。原作は以前Panaで販売したときに買って読んでいたので、アニメ化が嬉しい作品。しかもこの春発表のアカデミー賞の外国語映画賞のフランス代表に選ばれている。ついでに書くと4月に上映予定の『ヒトラーの贋札』も同賞にノミネートされているので注目ください。それで『ペルセポリス』ですが、日本で公開されるのはフランス語版。主人公とその母の役を、キアラ・マストロヤンニ&カトリーヌ・ドヌーブ母娘が演じている。『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』に出ていたあの二人です。

イランの少女と家族の物語
『ペルセポリス』はイラクで生まれ育った少女マルジの幼少期から成人になるまでの物語で、並行してイランの社会情勢が描かれる。ニュースで聞く情報は他人事だが、映画という形で語られると、身近な体験談として観れるので感慨もひとしおだ。また監督は実写で映画化すると、遠い異国の話になると思い、感情移入しやすいアニメで制作したというが。それは正しい選択だったと思う。その辺は公式サイトのインタビューをご参照ください。で、ちなみにこの作品の監督は原作者自身。つまりマルジ自身が監督もしているのが非常に意味深い。そのことで、物語は少女が目撃した一人称から、少女が家族から受け継いだ大きな歴史の一コマという流れの中に位置することになるからだ。アニメ特有の軽快な語り口の中に、大河ドラマのような深みを感じた。小難しいことを言えば、やはり語るべき話と、どうでも言い話というのが世の中にはあり、この『ペルセポリス』は前者。そして語り継ぐべき話としての価値を持っている。

優れたアニメ的表現
内容のことばかり書いたが、映像的にも楽しめる作品になっている。現在をカラーで、思い出をモノクロで描くというシンプルな表現だけではなく、歴史的な出来事は伝統的な壁画のようなタッチでデフォルメされたり、戦闘シーンはシルエットで生々しさを消しながらも暗鬱たる重さを持って描くなど、わかりやすい文法の中で、アニメらしい自由な表現が美しく描かれる。その辺は原作のコミックを4年描けて書いたという監督のグラフィック感覚だろう。

繋がっていく物語
興味深かったのは、マルジが青春時代を過ごしたパリでの話。異国の地でアラブの女がどんなに肩身の狭い思いをしたかが伝わる。ヨーロッパ人の無理解。これは先日上映した『アズールとアスマール』が描いたテーマにもつながる。映画を通して現実のピースが繋がったきがした。異文化への不寛容は日本人とてかわらないだろう。映画がこういうギャップを埋めていければおもしろいと思う。

あとどうでも言い予断だが、マルジの好きなスターがブルース・リーだった。ピーター・ジャクソンや、タランティーノなど、いかにブルース・リーが世界の映画人に影響を与えているか思い知りました。

>>公式サイト『ペルセポリス』
3/15〜 桜坂劇場にて上映

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