2006年10月15日

『ミッドナイトムービー』と観客

まだレンタルビデオが普及する前の時代。小さな劇場の深夜枠でのみ上映され、話題を呼んで大ヒットとなり、時代を超えて尊敬され続ける映画たちがあった。それらの作品は『ミッドナイト・ムービー』と呼ばれるた。『エル・トポ』『ピンクフラミンゴ』『イレイザーヘッド』など、それまでの映画の範疇を超えた、マイナーなインディーズムービーがなぜ大ヒットできたのか。映画『ミッドナイト・ムービー』は関係者のインタビューを集めてその時代を解きほぐす興味深い映画だった。なにより、単にカルト・ムービーを紹介するだけの作品になっていないところがおもしろい。映画の内容やメイキングにも触れるが、メインは製作者の心意気と、それをヒットさせようとする劇場主の言葉、それを支持する観客たちとその時代の空気。ちょっとした文化人類学の講座のように、映画ファンでなくても楽しめる様な造りなのだ。
なかでも仕事柄、劇場主たちの言葉が心に響いた。彼らもまた自分の小さな小屋を使って、世界的にな作品を世に紹介し続けたのだ。同業者だと思うと、えらくかっこいい。
中でも感動したのは『ロッキー・ホラー・ショー』のくだりで、ファンクラブの会長たちが「ぼくらは製作者から映画をうばった」と言うところ。製作者の思いを超えて、映画が独り歩きし始める、なんともカッコいい瞬間に立ち会った人々の興奮が伝わってきた。
ともかく、映画は文化を作った。そんな時代の興奮を伝えてくれる。ミッドナイトムービーという映画の思春期のような微妙な時代を感じさせるユニークな映画だった。


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